金融庁は22日、中小企業向け融資や個人向け住宅ローンの返済猶予を促す「中小企業金融円滑化法」について、期限が切れる来年3月以降も延長する方針を固めた。
中小企業の経営や個人の給与、雇用を取り巻く環境は依然厳しく、一定の役割が期待できると判断した。1年程度の延長を想定し、来年1月の通常国会に改正案を提出する予定だ。上期の経済指標が出そろう11月をめどに、延長期間を含め、方針を正式決定する。
金融円滑化法は当初、モラトリアム法と呼ばれ、亀井静香前金融相が中心になって昨年12月、2011年3月末までの時限立法として施行された。
金融機関に対して中小企業や住宅ローンの借り手が返済条件見直しを要請した場合、できる限り対応するよう要請した法律で、金融庁は関連する金融検査や監督指針の見直しも行った。
金融庁によると、昨年12月の施行日から今年6月末までの全国銀行(信用金庫、信用組合などを除く)の金融円滑化法対応実績(速報値)は、中小企業向けが、47万4815件の申し込みに対し、実行が39万738件で、実行率82.3%。住宅ローンが、6万2872件の申し込みに対し、実行が3万9712件で、実行率は63.2%となっている。